トロリー・ライン
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まだ目も覚めぬ函館の街。いくつものパンタグラフの、架線を叩く音が響き渡る。
始発電車が走る前に線路を走るのは、ササラトラックと霜取り電車。
市電を走らせるための陰の立役者だ。
雪の多く積もった日は、ササラ電車のお出ましだ。
明治36年製の東京市電を改造したササラ電車が、雪原に2条の軌道を作り出す。
慰労。早朝の一仕事で纏わりついた雪を丁寧に下ろしていく。
始発が走り出す。冬場の始発に使われるのは、大抵最古参の500型だ。
大きくて重く、直接制御で走る500型は、製造から70年以上が経つ今もなお乗務員からの信頼が厚い。
市電が走り始めると、街も目を覚ます。人も車も動き出し、今日もまた一日が始まる。
冬の函館の天気は目まぐるしく変わる。吹雪いていたと思えば晴れ、しかしそれは一瞬で、また空は白に覆われる。
函館駅は吹雪いていたのに、湯の川に行けば晴れていたなんてこともザラにある。目まぐるしく変わる天気に翻弄されながら、市電にカメラを向け続ける。
冬至の函館の日没は16時9分。あっという間に昼が終わり、空は灰色を濃くしていく。
静かに更けていく長い夜を、雪が明るく照らす。
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