トロリー・ライン
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2023年1月。私は初めて、異国の地を踏んだ。
プラハ、ブラチスラバ、ブダペストなど、トラムのある街を巡り巡って1か月。最後に辿り着いたのがここ、リガ。
バルト海の真珠と称されるこの街は、私を惹きつけて止まなかった。
1か月でできる限り多くのトラムと出会うべく駆け足の行程を組んでいた旅だったが、それでもリガには5日の時間を割いた。
北緯53度。冬のリガは、とにかく冷える。
着ぶくれした人たちは皆、飄々と街を歩く。
時折ふっと思い出したかのように現れる青空が、眩しい西陽が、冷えた体と目に沁みる。
ある都市に憧れを持つのは、いつぶりのことだろうか。かなり久しいことだと思う。
大学1年目に鹿児島へ訪れ、日本の軌道のある街を全て制覇して以降、しばらくの間憧れの都市というものはなかった。ただ淡々と、何度も、心行くままに軌道のある街を愉しむだけだった。でも、冒険のような、ワクワクした気持ちで軌道端を歩くことは減って行った。
それがいつしか、まだ見知らぬ軌道端を歩きたいという気持ちに昇華して行き、そしてその気持ちが私をリガまで引き連れて来た。
憧れの地に立った私は、異邦人であることを実感しながら、シャッターを切り続けた。
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